インフラマネジメント

「Rome was not built in a day.(ローマは一日にしてならず)」

このことわざは巨大な帝国を築くには膨大な時間と労力を要する。つまりは早道など探すのではなく、地道に積み上げることが必要であるという教訓です。
ではこれとインフラがどう関係あるのか? ここでいう「インフラ」とは「経営のインフラ」つまり、経営基盤を指します。
具体的には昔からの経営資源をして認知されている人(人材)、金(資金)、物(不動産)などのハードなものから、知識、情報、ノウハウ、社内文化、行動規模等のソフトなものが含まれます。
   一般的に言って、前者のハードなものは視覚的に見えるために認知されやすいのですが、後者の部分は目に見えないばかりか、抽象的・概念的であり、かつその指標が財務諸表といった共通の物差しがないために計ることが困難です。

  ここで言わんとすることは、次のようなことです。

「経営のソフトインフラを重要視せよ!」

「なぜインフラなのか?」 経営活動は行動や意志決定の連続であるから、一度きりならば社外の経営資源を利用することで、事態を乗り切ることが可能かもしれないが、連続する場合は結果的に平均値に収束するため、普段から一定以上の平均値を求める必要があるからです。


(ケーススタディ〜外資の日本進出)

外資企業が日本に進出する場合、中規模の日系企業を買収し、それを足がかりにすることが多い。  買収する目的は ・販売チャンネルの確保 ・顧客の獲得 ・社員の確保 ・支店などの継承など様々な目的があるが、多くの目的は物理的資源をお金で買い入れることが多い。つまりハードインフラを豊富な資金で買うのである。出来合いを買い入れたほうが自前で用意するより早いし、手間がかからないといういわけである。その目的このアプローチは正しい。ただ結果論から見るとこれでうまくいっているかというと、NOである。正確に言うと買収後から伸び悩み、拡大しないケースが大半であるというのが正しい。

  例を挙げよう。ノンバンク世界最大の某社(A社と呼んでおく)はカード事業を日本で展開する目的で日系の中堅のB社を買収した。 その時のの会員数は数万人、そして現在も同水準である。個人的にはこのA社がカード事業を展開しているのを知らなかった。多くの日本人も同様だろう。 A社の戦略は数万人のままの現状維持でよいであろうか? インタビューしたのではないので、何とも言えないが多分NOであろう。 買収額がいくらか知らないが、数万人の現状維持だけなら、高すぎるのは明らかだ。 G社ほどのブランドネームを持つ会社がなぜこうなのか? 内部事情はよく知りえないので、予想の範囲を出ないが主たる理由は 、日本支社のスタンスが不明確(目標が不明確)、社内人事の不活性などではないだろうか。(少なくとも個人的にはその印象を受けた)
いずれもソフトに関するもので、長い時間をかけて会社としてのモノを作らなければならない部分ではないだろうか。
  この例で言える事は、買収出来ない部分は決して小さくないということだ。

  山一を引き継いだメリルリンチはどうだろうか? うまくいくとして、当分はインフラ整備に時間がかかるだろう。

「ソフトのインフラ基盤を作るには膨大な手間と労力をかける事を覚悟せよ!経営陣はリーダーシップを存分に発揮し一刻も早く社内文化や行動規範と言ったソフト面での資産を築かなければならない!」

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